MAKING A COMPANY LEGIBLE
AIに、会社を理解させる。
AIは賢くなりました。それでも、その会社の「粗利」がどこまでを指すのか、誰がいくらまで決めてよいのかは、外からは分かりません。会社の中にあって、どこにも書かれていないからです。私たちがまずやるのは、その書かれていないものを書き出すことです。

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№16
WHERE WE START
現場の判断から、逆に作る。
データを集めてから使い道を考える順番では、たいてい使われないまま終わります。私たちは逆から作ります。まず現場でいちばん重い判断を選び、その判断に必要な言葉だけを定義し、必要な範囲のデータだけを繋ぎます。
全社のデータ整備を先に終わらせる必要はありません。1つの判断が回りはじめてから、隣の判断へ広げます。
WHAT WE WRITE DOWN
会社の中身を、種類に分けて書く。
ひとつの見出しに全部を詰めると、後から探せなくなります。種類を分けておくと、AIが必要なものだけを引けます。
定義
その会社で、その言葉が何を指すか。「粗利」「成果の1件」など、会社ごとに範囲が違うもの。
決まり
守るべき規程やルール。やってよいことと、やってはいけないこと。
事実
確定している事柄。どの資料が正で、どの形式で運用しているか。
固有名詞
会社名・商品名・人名の正式表記。略してよいもの、略してはいけないもの。
指標
数字の計算式と、どのデータから出すか。
手順
どの順で進めるか。どこで人に返すか。
システム
どこに何があるか。どの画面が正で、どこは参照だけか。
サービス
提供しているサービスそのもの。何をどこまで含み、どこからは別扱いか。
体制
誰が何を持っているか。決める人と、確認する人。
WHAT EACH ENTRY CARRIES
1件ずつに、出所と確認の状態が付く。
書いてあるだけでは足りません。誰がそう決めたのかを後から辿れないと、AIに任せる根拠になりません。
- 01
定義
その言葉が指す範囲を、一文で。
- 02
別名
現場での呼び方の揺れ。略称や旧称も含めて拾います。
- 03
略称の可否
略してよい名前と、略してはいけない名前。句点まで含めて正式表記を守ります。
- 04
関係
どの言葉の一部か、どれと関わるか。
- 05
計算式
指標なら、どう計算するか。何を足し、何は引かないか。
- 06
出所
どの資料・どの規程から来たか。ファイル名まで残します。
- 07
確認の状態
AIが下書きしたままか、人が確認済みか。
- 08
更新日
いつ時点のものか。
RELATIONS
言葉は、単独では意味を持ちません。
「粗利」を一行で定義しても、それだけではAIは動きません。それが何に付くのか、何から計算されるのか、どの言い方が同じものを指すのか。つながりまで書いて、はじめて使える意味になります。
ですから私たちが作っているのは、用語集ではなく関係の網です。ひとつの言葉は、たいてい他の何本かと結ばれます。下は、それを会社ひとつ分だけ広げたところです。近い意味は近くに集まり、塊と塊は名前の付いた関係でつながります。
そして、この絡み合った形のままAIに渡します。文章で説明するのではなく、機械が読める構造として渡す。だからAIは、聞き直さずに正しいほうの意味を選べます。
架空の会社の言葉どうしの関係を表した図。顧客・案件・請求・商品と在庫という 4つのまとまりが濃く、その間も、発注する・請求になる・商品を含む・請求先といった 名前の付いた関係で結ばれている。手前に来たものには語の名前が表示される。
WHAT WE HAND THE AI
ONE CARD — OUT 3 / IN 1
{
"card": {
"term": "粗利",
"kind": "metric",
"definition": "売上から仕入と外注費を引いた額。社内の人件費は引かない。",
"formula": "売上 - 仕入 - 外注費",
"aliases": ["粗利益", "GP", "売上総利益"],
"source": "経理規程 第3章",
"owner": "経理",
"verified_at": "2026-07-26T11:20:00+09:00"
},
"out": [
{ "rel": "part-of", "name": "案件", "kind": "definition" },
{ "rel": "uses", "name": "請求", "kind": "definition" },
{ "rel": "uses", "name": "外注費", "kind": "definition" }
],
"in": [
{ "rel": "uses", "name": "月次レポート", "kind": "process" }
]
}横にスクロール →
out がこの言葉から出ている関係、in が他から入ってくる関係。関係の名前は自由文ではなく、決めた6語から選びます。書き手によって呼び方が変わると、AIが辿れなくなるからです。HOW IT GETS BUILT
AIが下書きし、人が確定させる。
既にある資料・議事録・スプレッドシートから、AIが候補を拾って下書きします。ただし下書きのままでは使いません。人が画面で確認して初めて、確認済みになります。
追加の前には、同じ意味の項目がすでに無いかを別名まで含めて照合します。同じものが二重に登録されると、AIはどちらを信じるか決められなくなるからです。変更は誰がいつ行ったかまで記録に残ります。
WHAT WE LEAVE OUT
動くものは、地図に書きません。
登録するのは、確定していて、3ヶ月単位では変わらない構造と定義だけです。今月の予算や、昨日の受注件数のような動く数字は載せません。
地図に動くものを書くと、地図のほうが先に古くなります。動く数字は、そのつど元の場所から取りに行きます。
HOW THE LAYERS CONNECT
層が積み上がって、はじめて業務が回る。
いちばん下に、会社のデータがあります。その上に、その会社の言葉として意味を与える層を置きます。AIはその層を絶えず参照しながら、複数の業務を組み合わせて進めます。
やり取りは一方通行ではありません。データは材料として上がり、実行の結果と、そこで新しく分かった言葉は下へ戻ります。この往復が続くほど、意味の層は厚くなります。
私たちがお渡しするのは、この意味の層とAIの業務が乗る場そのものです。arksdelta. と呼んでいます。会計も広告も在庫も、いま使っているシステムはそのままにします。意味の層は、その上に重ねるものであって、置き換えるものではありません。
層の図。下が会社のデータ、その上が意味の層、その上でAIが業務を行う。 意味の層とAIの業務を囲んでいるのが arksdelta.。 データは材料として上がり、実行の結果と新しく分かった言葉は下へ戻る。
WHAT IT CHANGED
地図だけでも、検索だけでも足りません。
自社の実際の問い16問で試しました。測ったのは、答えるために必要な言葉が、AIに渡る材料の中に入っていた割合です。
何も渡さないと0%。地図だけを渡すと38%。全文検索だけだと50%。地図で当たりをつけてから検索する二段構えにすると75%になりました。外れた問いを見て、足りなかった項目を4つ足し、もう一度回すと100%でした。
16問という小さな試験であり、自社のデータでの結果です。それでも、地図と検索のどちらか片方では届かないことは、はっきりしました。(2026-07-26 実測)
HOW IT STAYS TRUE
業務が変われば、地図も変わります。
書いた時点では正しくても、運用は変わります。出典の資料が書き換わっていないかを毎晩自動で照合し、ずれていれば知らせます。
答えられなかった問いは、そのまま不足の記録として残ります。それを見て項目を足すところまでを、ひとつの輪にしています。
